社会保険労務士 SATOH's オフィス
労働組合と会社との紛争は労働組合法や労働関係調整法に解決方法が定められていますが、近年、労働組合の組織率が低下し個々の労働者と会社との紛争(「個別労働関係紛争」と呼びます)が増えてきたので、解決手続きが個別労働関係紛争解決促進法に定められ、最高裁の判例法理を集約して平成19年に労働契約法が制定されました。 解決を図る機関としては、労働基準監督署、裁判所に加えて、裁判外紛争解決機関があります。
労働基準監督署は労働基準法などの法令違反がないか監督・取り締まりを行う機関であり、民事紛争には介入しません。 司法警察職員と呼ばれ、労働の分野に関して、逮捕や送検など警察官と同等の権限を有しています。
労働関係紛争に係る裁判外紛争解決手続き(ADR:Alternative Dispute Resolution )を行う機関には次の4つがあります。
各都道府県におかれている厚生労働省の地方機関です。 相談の内容に応じて労働局長の名で「助言・指導」が行われ、さらに、紛争調整委員会による「あっせん」が行われます。 和解による解決を目指すサービスです。
労働組合法に基づき設置されている独立行政委員会で、国に設置される中央労働委員会と都道府県ごとに設置される都道府県労働委員会があります。 本来は労働組合と会社との紛争解決を図る機関ですが、平成13年に制定された個別労働関係紛争解決促進法により、個別労働関係紛争の「あっせん」などを取り扱うことができるようになりました。
法務大臣の認証と厚生労働大臣の指定を受けて、社会保険労務士会でもADRを行えるようになりました。 特定社会保険労務士が当事者の言い分を聴き、「あっせん」という手続きにより個別労働関係紛争の解決を図ります。 特定社会保険労務士は、請求額が120万円以下の案件を取り扱うことができます。
弁護士会のADR実施機関として「紛争解決センター/仲裁センター」を設置しています。 労働関係紛争に限定されません。 弁護士があっせん人・仲裁人となり、当事者の話し合いによる解決や仲裁人による仲裁などを行います。
裁判所でも、訴訟だけでなく話し合いによる解決を目指すサービスが提供されています。 裁判所における案件に、社会保険労務士は弁護士の「補佐人」として出頭し、陳述することがあります。